そろしい速力をもって、次郎をおいかけた。次郎は右に逃げ、左に逃げたが、とうてい海蛇の足にはかなわない、海蛇の手は、むずと次郎のえりもとにかかった。この一しゅんかん、次郎はふりむきざまにポケットのピストルをとりだして、ごうぜん一発うちはなした。ねらいたがわず弾丸は海蛇の胸にあたった。海蛇はよろよろとよろめきながら、舟のなかへころげこんだ。これより先に舟に逃げこんだブランドとブルークは、海蛇を舟に入れるやいなや、むこう岸をさしてこぎだした。
とつぜん、天地もさくるばかりのごうぜんたる音がおこって、洞《ほら》の口に煙がぱっととんだかと思うと、三|悪漢《あっかん》をのせたボートは、木の葉のごとくひるがえって矢をいるごとき早瀬《はやせ》に波がぱっとおどるとともに、三人のすがたは一|起《き》一|伏《ぷく》、やがてようようたる水の面、ニュージーランド川は、邪悪のむしろをしずかにのんでしまった。
物置きの洞にすえつけた大砲をうったのは、モコウであった。それもこれも一しゅん時のできごとである。息きれぎれに走り集まった一同は、ただぼうぜんと気抜けがして、たがいにことばもなかった。
「これで悪漢全滅だ」
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