早めて、ブランドののどをめがけてとびかかった。ブランドは驚《おどろ》いてコスターをだいた手をはなし、フハンの両耳をつかんで一生けんめいに戦った。人と犬! 押しつ押されつ汗みずくになってもみあった。
海蛇は次郎をかかえたまま、岸のほうへ走った。このとき、とつじょとして洞内からおどりでた、一|壮漢《そうかん》がある。その顔はあしゅらのごとく、眼は厳下《がんか》の電《でん》のごとくかがやいている。
「海蛇待てッ」
声をきいて海蛇は立ちどまってふりかえった。
「やあ、ホーベス、いいところへきた、早く舟に乗れ」
ホーベスは、だまって海蛇に近づいた。と見るまもなく、かれのがんがんたるげんこつは、宙をとんで海蛇の眼と鼻のあいだに落ちた。あっという声とともに海蛇は次郎をはなした。同時にかれの手は早くもポケットの懐剣《かいけん》にかかるやいなや、怪光《かいこう》一せん、するどくホーベスの横腹《よこはら》をさした。ホーベスは、びょうぶをたおしたように、ばったり地上にたおれた。
海蛇はもう死に物ぐるいである。かれはブランドが、コスターをのがしたのを見て、せめて次郎だけはとりもどそうと考えた。かれはお
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