《ごえい》して、左門洞にひきあげた、しかし道は平坦《へいたん》ではない、たんかは動揺《どうよう》した、そのたびに架上《かじょう》のドノバンは、悲痛《ひつう》な呻吟《しんぎん》をもらした、このうめきをきく富士男の心は、ドノバン以上の疼痛《とうつう》をおぼえた。
 ようようにしてかれらは、左門洞百五十メートルくらいの地点にきた、しかし左門洞には、まだ突出《とっしゅつ》した岩壁《がんぺき》をまわらねばならないのである。
 このとき左門洞のほうにあたって、ケートのさけび声とともに、少年たちのさけぶ声がきこえた。
 フハンはまっしぐらに声のほうへ走った、偵察隊一同はハッとして立ちどまった。
 イバンスの脳裏《のうり》には、なにかひらめくものがあった、凶漢《きょうかん》三人は路を迂回《うかい》して、ニュージーランド川のほとりから、左門洞を攻撃《こうげき》しているのではあるまいか?

     歓迎

 凶漢《きょうかん》どもを撃退し、負傷せるドノバンをたんかにのせて、左門洞へひきあげんとした富士男の一行が、いま左門洞のほとりに少年たちとケートのさけび声をきいたのでがくぜんとした。
「すきをつかれた
前へ 次へ
全254ページ中238ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
佐藤 紅緑 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング