たんぼう》したために、一島をも見ることができなかったのである。ただ最初に富士男が、モコウとともに平和湖を横ぎって探検したさい、サクラ湾で見た一小白点は、雪をいただくアンデス山中の一高峰であったことは疑いない。またたこに乗って空中から見た火光は、同じ山脈中の一火山である。
「わたしたちが伝馬船《てんません》を手に入れてこの島を出るとしても、どの方向にすすみますか」
 とゴルドンは問うた。
「チリー国の沿岸は、曲折《きょくせつ》出入が多くてはなはだ危険であるが、ここより一直線に南航してチリー国の港に入港すれば、チリー国の住民はみな親切であるから、便船《びんせん》を求める便宜《べんぎ》はえられると思う」
 とイバンスは答えた。
「チリー国の南端に港がありますか」
「チリー国の南端にタマル港があるが、もし荒廃《こうはい》していれば、さらに南に航路をとって、マゼラン海峡に出れば、ガーラント港があります。ここへゆけば、かならず豪州《ごうしゅう》行きの便船《びんせん》はあるはずです」
 じじつマゼラン海峡に出れば、各国の船が通過している、イバンスの説明はますます少年を歓喜せしめた。
 しかしかれらが
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