、洋々たる大洋を、横断するのですか」
「大洋を横断する? いやわれわれは、まず南米に近い港《みなと》にわたって、便船《びんせん》を求めるつもりである」
イバンスのこのことばは、少年たちをますます混乱《こんらん》させた。
「しかしあんな小船で、数百キロの波濤《はとう》を、越えることができますか」
とバクスターは質問《しつもん》した。
「数百キロ? いや港までは、きんきん五十キロを出ない航程《こうてい》です」
「ではこの島は、大洋中の孤島《ことう》ではないのですか」
「島の西方は大洋であるが、東南北は大洋ではありません。諸君はこの島を、大洋中の孤島だと思ったのですか」
少年たちは目を見張って、イバンスのことばを待っている。
「島は島であるが、孤島ではない。南アメリカのチリー国の西岸に点在する群島中の一つです。あした地図にてらして、本島の所在および方位について、くわしく説明しましょう」
とイバンスは語りおわった。
いままで大洋中の一孤島とのみ思っていた少年たちは、イバンスのことばをきいて、ひじょうに喜んだ。この喜びに幼年組は海蛇《うみへび》の恐怖《きょうふ》をわすれて安眠した。
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