りだした。
「ぼくらは数日間は、伝馬船《てんません》の修復《しゅうふく》に手をつくした、だが、なにぶん修繕《しゅうぜん》に必要な道具が不足である、そのうち、食物がなくなってくる、水が飲めない、ぼくらは修繕するのをよして、船は雨風のあたらない場所にかくし、食糧《しょくりょう》を求めるために浜辺にそって南下した、行くこと十九キロばかりで一|条《じょう》の小川の口に達した、ぼくらはむさぼるように水を飲んだ、水はとてもおいしかったよ」
「その川は東方川というんです、そして川のそそぐところを失望湾というんです」
 とサービスがいった。
「清い水は飲みほうだい、ぴちぴちした魚はたくさんとれる、ぼくらはここに住まいを定めることにした、伝馬船《てんません》は浜辺づたいにひいてきて、川口につないだ。
 ぼくらは船をたいせつにした、ただ一つの修繕《しゅうぜん》道具があれば、船はよういに手入れができ、いつでも島を去ることができるのだからね、船は命の親だからね」
「洞には修繕に必要な道具が揃《そろ》っています」
 とドノバンがさけんだ。
「そうだろう、海蛇《うみへび》らはちゃんとにらんでる」
「でもおかしいな
前へ 次へ
全254ページ中211ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
佐藤 紅緑 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング