はってよぶ声がする。一同はびっくりして耳をすました。
「諸君!」
「アッ! 兄さんの声だ、兄さん!」
 と次郎が狂気《きょうき》のようにさけんだ。
「諸君! 海蛇《うみへび》らはまだ島にいるぞ」
 こういうと富士男はあざやかな抜き手を切って、もうぜんと泳ぎだした。
 岸にあがった富士男は胴《どう》ぶるいをすると大きなくしゃみ[#「くしゃみ」に傍点]をした。
「やあやあかっぱの胴《どう》ぶるいに河童《かっぱ》のくしゃみ[#「くしゃみ」に傍点]だ」
 とモコウが水玉をかけられていった。ホッとした安堵《あんど》とともに一同ははじめて笑った。
「これを着たまえ」
 とドノバンが上衣をぬいだ。
「これを」
 と一同はシャツやズボンをぬいだ。
「そんなに着られやしないや、だるまさんじゃあるまいし」
 と富士男がいった。
「かっぱ変じてだるまとなるでさあ」
 とモコウがてつだいながら、鼻をヒョコつかせた。
「違《ちが》うよ、あれは桑田《そうでん》変じて滄海《そうかい》となるだよ」
 と善金《ゼンキン》がまじめな顔でいった。一同が笑った。
 洞に帰ったかれらは、つかれを休むひまもなく、悪漢どもに対する
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