たんどくこうい》にいずるがごとき人があったら、それはその人の不幸ばかりでなく、わが少年連盟《しょうねんれんめい》の不幸だ、いまの時代は自己《じこ》一|点張《てんば》りでは生きてゆけない、少年はたがいにひじをとり、かたをならべて、共同戦線に立たねばならぬのだ、ひとりの滅亡《めつぼう》は万人の滅亡だ、ひとりの損害《そんがい》は万人の損害だ、われわれ連盟は日本英国米国ドイツイタリアフランス支那インド、八ヵ国の少年をもって組織《そしき》された世界少年の連盟だ、われわれはけっして私情《しじょう》をはさんではいけない、もしぼくが私情がましき行為《こうい》があったら、どうか断乎《だんこ》として、僕を責《せ》めてくれたまえ、ねえドノバン」
「わかったよ、だがきみは、なにもぼくらの自由を束縛《そくばく》するような、法律をつくる権利がないじゃないか?」
ドノバンはいまいましそうにいった。
「権利とか義務とかいうのじゃないよ、ただぼくは、共同の安全のためには、おたがいに分離《ぶんり》せぬように心を一にする必要があるというだけだ」
「そうだ、富士男の説は正しい」
と、へいそ温厚《おんこう》な英国少年ゴルド
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