ょうりょく》ですすんだ、四五日がすぎた、だが海蛇《うみへび》などの悪漢の消息《しょうそく》はようとしてわからない、黒雲が頭をおしつけるように、一同は不安と恐怖《きょうふ》のあいだに、心がおちつかない。
「ゴルドン君、ぼくはひとりで、ドノバン君が発見したというセルベン号のある海岸へいってみようと思う。いつまでも不安な状態《じょうたい》であるより、なにかしっかりした消息《しょうそく》をつかまえたいんだ」
と富士男が真剣《しんけん》な顔をしていった。
「ぼくもいこう」
とドノバンがいった。
「ぼくらもいこう」
とイルコックと、バクスターがいった。
「そりゃ無謀《むぼう》だ。みずから危険のふちにのぞむことは、賛成《さんせい》できない」
とゴルドンがいった。
「富士男さん、わたしお願いがあるのよ」
とそばで一同の議論をきいていた、ケートが口をきった。
「どんなことです、おばさん」
「わたしを一日か二日、自由の身にしていただきたいのです」
「それはいったいどういうわけですか」
とゴルドンがいった。
「この洞穴がいやになったのですか」
とドノバンがいった。
「いいえ、そうじゃないのです
前へ
次へ
全254ページ中173ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
佐藤 紅緑 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング