をしていた、かれは三十前後の温良な人物である。
「助けて!」
「どうしたんです」
とイバンスがびっくりしていった。
「船長さんが、ご主人夫妻が……殺されたのです」
こういったとき、どやどやと悪漢どもが、足音あらくふみこんだ。海蛇を先頭に七人が目をギラギラ光らして、ピストルと刀を持って威嚇《いかく》した。
「殺すのか」
とイバンスが、ケートをかばった。
「いや、運転手さん。おまえは助けてあげるよ、だが、おれたちの命令にそむきゃ、ようしゃはしねえ」
と海蛇がいった。じっさいいまイバンスを殺しては、船の運転がとまってしまう。
「親分、あの女はどうしよう」
と四本指がいった。
「ついでに助けてやれ」
かくてイバンスとケートは、運転手室にとじこめられて、厳重な監視《かんし》をうけた。不安のうちに三日すぎた。と、どうしたことか四日目の晩、船はにわかに火を発して見る見る火焔《かえん》につつまれてしまった。
悪漢どもはあわてふためいて、伝馬船《てんません》をおろした。若干《じゃっかん》の食物と数丁の武器と弾薬がかろうじてとりだすことができた。
「まぬけめ! おちついてやれ」
と海蛇がど
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