なった。ひとりの水夫はあわてすぎて足をすべらし、海中にきえた。ケートとイバンスはそのすきに、伝馬船へ乗り移った。
明けがたから風が変わって、黒雲が大海をあっした。天候は大あらしに急変した、激浪《げきろう》と突風《とっぷう》にもまれて、帆柱《ほばしら》は吹き折れ、かじは流され、船はまったく自由を失った。みなは船底にかじりついて生きた心持ちもない。船は激浪にもてあそばれつつ、連盟島の北浜に乗りあげた。ケートは安心とともに気を失った。
フト眼をさますと、がやがや話し声がきこえる。きき覚えのある海蛇のだみ声である、ケートは耳をすました。
「おい抽《ひ》き出しの銃はだいじょうぶか」
「ちっともぬれてません」
「ありがてえ、弾薬は?」
「これもだいじょうぶのこんりんざいです」
「じゃ、とにかく、東のほうへいってようすをさぐろう」
「親分、運転手の野郎《やろう》はどうしましょう」
それは四本指の声である。
「そうだ。おまえとロックが監視《かんし》しろ」
「女のほうは」
「ありゃ、浪にさらわれていまごろはおだぶつさ、もし生きてりゃ、おれたちの秘密を知ってるから、殺してやる」
悪漢どもの足音は東
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