て、洞さして走った。まもなくかれは手に若干《じゃっかん》の乾《ほ》し餅《もち》と、少量のブランデーを持ってきた。
「ありがとう」
 とゴルドンが、次郎の機敏《きびん》の処置《しょち》を感謝した。
 富士男は婦人に近づいて口をひらき、数滴《すうてき》のブランデーをそそいだ。一同は緊張《きんちょう》してじっとみつめた。ムクムクとからだが動いた、と目をひらいてぼうぜんと四人の顔を見まわした。
「やあ、気がついた」
「おあがんなさい」
 と次郎が乾《ほ》し餅《もち》をさしだした。婦人は目に喜びの色を見せて、せわしくとるかと見れば口に運び、一気にのみこんでしまった。
「ありがとう」
 となかば身をおこしていったかと思うと、気がゆるんだのか、ぱったりとたおれた。
「死んだ」
 とサービスがいった。
「安心したのだよ」
 とゴルドンがいった。
 急製のたんかで婦人はまもなく、一同の手によって、左門洞へ運ばれた。
 ベッドの上に安臥《あんが》させられた婦人は、一時間ばかりしてぱっちりと目をさました。かの女はふしぎそうにあたりを見まわした。
「ああ、わたしはたすかった」
「お気がつきましたか」
 とゴル
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