ドンがいった。
「もうだいじょうぶだ」
と富士男がいった。
一同はほっと安心の吐息《といき》をついた。
「みなさんはどうして、こんなところへ住んでいらっしゃるの?」
と婦人が、自分をとりまいている一団の少年の生活を、あやしむようにいった。
富士男がかんたんにいちぶしじゅうを語った。
「まあ! なんという健気《けなげ》な子どもたちでしょう」
と婦人は自分の遭難《そうなん》はわすれて、一同の忍耐《にんたい》と勇気とに、涙を流して感嘆《かんたん》した。
「おばさんはどうしてこんなところへこられたのですか」
とゴルドンがきいた。
「ええ、お話ししましょう」
一同は好奇の目をみはって、婦人のそばちかくよった。かれらは婦人の一語一句に身をふるわせ、手に汗をにぎってききいった。
婦人の話はこうである。
かの女はアメリカ人で、レーデー・カゼラインとよんだ。だがかの女らの友だちは、ケートと愛称《あいしょう》した。ケートは二十年ちかくもニューヨークの富豪《ふごう》、ベンフヒールド氏の家に奉公《ほうこう》して女執事《おんなしつじ》をつとめた。ちょうどいまから一ヵ月まえ、ベン氏夫妻はチリーの
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