もない」
とゴルドンがいたわるようにいった。
「そうだ、きょうにかぎったことはない、ゆっくり腕《うで》を休めよう、さあみんななかへおはいり」
と富士男がいった。
天候はいよいよ険悪《けんあく》を加え、正午《ひる》ごろからがぜん大あらしに一変した。雨と風と海のものすごいひびきが、一団となって洞穴をおそう。それは夜にはいっていっそうはげしくなった。
あらしは翌日も勢いはおとろえない。一同は脾肉《ひにく》の嘆《たん》を発して腕《うで》をさすった。
十七日の明け方からさしもの豪雨《ごうう》もようやく小降りになり、風速もしだいにおとろえはじめた。
「風がなくなったら、たこあげができない」
と善金《ゼンキン》が心配そうにいった。
「だいじょうぶだよ」
とバクスターが、まじめな顔をしてうけあった。一同は笑った。
正午《ひる》ごろには断雲《だんうん》を破ってまばゆい日が、ひとすじの金箭《きんせん》を投げた。
「万歳!」
待ちに待った幼年組は、日をつかむように両手をかざして、とびまわった。
大だこはさっそく洞外へ運びだされた。巻きろくろは、洞前の岩の根元にすえつけられた。
「ゴルドン
前へ
次へ
全254ページ中152ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
佐藤 紅緑 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング