画は、けっして小説的じゃないよ」
 とバクスターが抗議《こうぎ》した。
「富士男君、きみはどう考える?」
 とゴルドンが、みなの気焔《きえん》をニコニコしてきいている富士男にいった。
「バクスター君の計画はぼくも賛成だ、ぼくもそれを考えたことがあるよ、さいわいこの島は無風の日がきわめて少ない、機《き》にのぞんで無用のものを有用に転《てん》ずることは、人間にあたえられた大いなる宝だ、ぼくらはさっそく利用しよう」
 富士男の言は力づよくひびいた、一同はとみに意気のあがるのをおぼえた。
「たこの製作はバクスター君に一任しよう」
「賛成!」
「よう工学博士!」
「救いの神さま!」
 いろいろな声がとんだ。
 翌朝から一同は製作主任のバクスターのさいはいのもとに、リンネルや帆布《ほぬの》を切ったり、ぬいあわせたり、骨をけずったり、嬉々《きき》として仕事をはげんだ。二日二晩の協力はみごとな大だこを完成した。それはドノバン一行が、左門洞をたちのいてから四日目、すなわち十月十五日の晩であった。
「大きいな! 万歳!」
 幼年組が歓声《かんせい》をあげた。
「十分にぼくらのひとりをせおうことができるね」
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