つでも命《いのち》をすてます」
「そうだ、おまえはおまえの罪《つみ》をあがなわなきゃならんぞ」
 モコウはがくぜんとしてそこを去ろうとした、がそれはすでにおそかった。次郎がおかした罪のしさいを、すでに、ことごとく聞いてしまったのだ。兄弟の永久の秘密を!
 人の秘密を立ち聞きするほど卑劣《ひれつ》な行為はない、しかも主人兄弟の秘密である。さりとて聞いてしまったうえは、もはやとりかえしがつかぬ。モコウは足をしのばしてボートへ帰り、ひとり出発の準備をしていると、やがて富士男がひとりもの思わしげに帰ってきた。
「次郎さんは?」
 とモコウがきいた。
「次郎はいまうさぎを撃っている」
 富士男はこういってボートにはいった。
「富士男さん!」
 モコウはとつぜん富士男の前にひざまずいた。
「ぼくはひじょうに悪いことをしました」
「なんだきみは?」
 富士男はおどろいてモコウの顔を見た。
「ぼくはいま木の陰《かげ》へゆきましたら、聞くともなしに次郎さんの告白《こくはく》を聞きました」
「聞いたか?」
 富士男の顔は、さっと青白くなった。
「聞きました、聞くつもりでなかったけれども聞きました。ですが富
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