の九時ごろ、あかりもきゆるかと思われるものすごい電光が流れたかと思うと、天地もさける一|大霹靂《だいへきれき》が耳をつんざいた。これをきっかけに、電光は青赤色のほのおをはいてたえまなく光り、岩上に落花するごう[#「ごう」に傍点]然たる落雷のひびき! 天地もために顛倒《てんとう》するかと思われるばかりである。守備をかためた年長組は思わず耳をおおい、地にふし、幼年組は寝台にとびこんで、毛布《もうふ》のなかに頭をつきこんだ。
戸がわをかためた富士男、ドノバン、バクスターの三人はかわりがわり洞外のようすを知ろうとするのだが、戸をなかば開かないうちに、するどい電光が矢のように流れ、眼をいすくめる、天は一面赤火光にもえ、湖水は天の色を反射《はんしゃ》して、ただ一円のほのおのように見える、十二時ごろ、さすがの電光も雷鳴もようやくおとろえはじめた。
雷鳴がおさまるとともに風がおこり、しだいに猛威《もうい》を加え、あまつさえ盆《ぼん》をくつがえす豪雨《ごうう》となった。だが、車軸《しゃじく》を流すような豪雨も、小石を吹きとばす強風も、洞のなかではさほどおそろしいことではない。
「雷《かみなり》が洞をこわしはしないかと、ぼくはずいぶん心配したよ」
と善金《ゼンキン》が毛布から頭を出していった。
「ああやっと助かった」
幼年組がコソコソ寝台《しんだい》からぬけだした。
「まさかこのあらしをおかして、悪漢どもが攻めてくるようなことはあるまい、富士男君、見張りはいらないよ、ぼくらはあすのために英気《えいき》を養おう」
とゴルドンがいった。
「ウン、そうしよう」
一同は寝台にいそいだ。富士男はなお、用心のために、戸の内がわに、大石を積みあげた。といままで、寝台の下におとなしくうずくまっていたフハンが、音高く鼻を鳴らすと、耳をピンと立て、目をいからして戸の外をにらみ、ひとほえすると、歯をむき立ててもうぜんとかけだした。かれは前脚《あえあし》で戸板をがりがりとひっかき、低くうなりつづけた。
「戸の外になにか異状《いじょう》があるのだ」
とドノバンがさけんだ。
「ケートおばさんを発見したときと同じだ、悪漢どもが攻めてきたのだ」
とサービスが悲鳴《ひめい》をあげた。
「武器を持て!」
とゴルドンがさけんだ。
各自は武器をつかみ、防戦の身がまえをした、不安と恐怖《きょうふ》が洞内を圧
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