した。
モコウがすばやく戸口にかけて耳をあてた。なんの物音もしない。
「なんだ、なんでもありゃしない」
だが、フハンはいっそうはげしく戸をひっかき、はてはまりのように四|肢《し》をぶっつけて、ほえたてた。とごう[#「ごう」に傍点]然たる一発の銃声がひびいた。それは、洞から百メートルとは離れないところではなたれたものだ。
「アッ!」
一同はがくぜんと顔を見あわした。ドノバン、バクスター、イルコック、グロースらの名射手《めいしゃしゅ》は、表裏の口をまもった。目をギラギラ光らして、一発のもとにいころそうと身がまえた。戸ぎわに大石が運ばれ、胸壁《きょうへき》がつくられた。
「助けて、助けて!」
悲鳴《ひめい》が戸の外でした。
ドノバン、バクスターは引き金に指をかけた。
「助けて」
と戸がガタガタと鳴った。
「バクスター、ぬかるな!」
とドノバンがいった。
「ドノバン! 待ってちょうだい! あの声は聞きおぼえがあります」
とケートが、ドノバンの引き金にかかった手をとった。
「だれです?」
と富士男が緊張《きんちょう》していった。
「早く! 戸をあけて……早く!」
ケートはこういうと、みずから戸に手をかけた。
「あけちゃあぶない!」
とひとりがさけんだ。
「いいえ、心配はいりません、早くいれてやらねばなりません」
なかば開いた戸から、鉄砲玉のようにとびこんできた壮漢《そうかん》! 雨にうたれた伸びほうだいの髪《かみ》は、ものすごく顔にへばりつき、ひげは草むらのように乱生し、水玉がたれている、かたはば広く丈《たけ》高い偉丈夫《いじょうぶ》! かれはギロギロとするどい眼光で一同を見まわすと、すばやく身をひるがえして戸を閉じ、耳をあてた。追跡《ついせき》する足音はきこえない。
「だいじょうぶだ」
と彼はひとりごちて、ずかずか一同の前に近づいた。
「なるほど、みんな子どもばかりだな」
かれはつぶやくようにいって、ジロジロ洞中を見まわした。
「イバンス!」
とケートがさけんだ。
おのれの名をよばれて壮漢《そうかん》は、ギクリとしてふりかえった。
「やあケートさん」
「あなたは少年らに救《すく》われました、わたくしも救われたのですよ、これはみんな神さまのひきあわせです、イバンスさん、あなたもどうか子どもらの力になってやってください」
ケートはかれの手をにぎ
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