かることがあろうとも、それはきみに対する謀反《むほん》ではないさ、連盟員一同がきみを捨てて、ドノバンにくみしはしないことぐらい、いくらうぬぼれの強いドノバンでも、知ってるだろうからね……」
「いやかれらはぼくらを捨てて、この左門洞を去ろうとしている」
「ハハハ、ますます過敏症《かびんしょう》になるね。こりゃなにか、おまじないをして、早くなおさなけりゃ一同が心配するよ」
「ゴルドン君!」
 富士男はキッとなっていった。
「じょうだんごとではないのだ、ぼくはたしかな証拠《しょうこ》をにぎったのだ」
「証拠?」
 とゴルドンは富士男のしんけんさに、真顔になった。
「ゆうべぼくはなぜか寝苦《ねぐる》しくってしかたがなかった、ぼくは千を数えた、だがまだねむれない。ぼくはとうとう寝ることを断念《だんねん》した、外の夜気にでもあたってみようと、そっと寝床《ねどこ》をぬけだした。ぼくはついでだと思ったから、みんなの寝すがたを見てまわった。ところが、ぼくは室の一|隅《ぐう》にポツンとあかりのさしているのに気がついた、ぼくはそっと近づいた、見ればイルコックが左門先生の地図を写しとっているのだ」
「…………」
「ね、ゴルドン君、きみも知ってるように、ドノバン一|派《ぱ》は、ぼくが命令するといつもいやな顔をする。思うにかれらの不満は、ぼくの一身にこころよからざるところから発するのだ。ぼくは大統領の職《しょく》を辞《じ》そうと思うよ、ぼくが現職にあるために連盟の平和をみだすようになっては心苦しい。きみかあるいはドノバンにゆずったら、不和の根が絶えて、連盟はもとの平和にかえると思うんだ……」
「いや!」とゴルドンはカッと目をみひらいていった。「富士男君、それはきみの平生《へいぜい》ににざる言だ、もしそのようになったら、きみはきみを選挙した一同の信頼を、なんによってつぐなうのだ。なんによって一同に対する義務をつくそうというのか」
 ゴルドンの言は富士男の胸を強くうった。
「そうだ、ぼくは自分の重大な責任をのがれようとした、信頼されたら水火《すいか》をも辞《じ》せないのが、日本人の気性《きしょう》だ、困難《こんなん》がかさなればかさなるほど、それにたえて打ち破ってゆかなければならないのだ」
 こう思うとかれは胸が軽くなるのをおぼえた。
「ゴルドン君、ありがとう、ぼくは全力をつくしてあたるよ」
「た
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