である。洞門の前の小岩にこしをかけて、一同の嬉々《きき》とするさまを見まもっていたゴルドンは、ニッコリして富士男にいった。
「あの元気いっぱいさはどうだ、みんなうれしそうだね」
「だが、ドノバンらがいないのはどうしたんだろう?」
富士男はさっきからさがしているのだったが、ドノバン、グロース、ウエップ、イルコックの四人のすがたはどこにも見あたらなかった。
「みなが楽しそうに遊んでいるのに、四人をのけものにしては悪い、よんでこよう」
と富士男が立ちあがった。
「ぼくもゆこう」
ふたりは洞穴のなかにはいった。室のすみに頭をあつめて、なにごとか相談にふけっていた四人は、ふたりの足音におどろいて話をやめた。
「ドノバン君! 室のなかにいないで、外へ出て遊ぼうじゃないか」と富士男がいった。
「いやだ!」
とドノバンがいった。
「なぜだい」
とゴルドンがいった。
「なぜでもいいよ。ぼくらはここにいたほうがおもしろいんだ。ね、諸君」
こういって、ドノバンは三人と顔をあわしてニヤリと笑った。
「そうか」
とふたりは室を出た。
輪《わ》投げの事件があってから、ドノバンの富士男に対する態度《たいど》は目だって変わってきた。富士男は日本人の気性《きしょう》としてあっさりと水に流したのだったが、倣岸《ごうがん》のドノバンは、心をひらこうとはしない。そして大統領の選挙にもれてからは、ことごとに富士男にたてをつくようになった。ゴルドンはふたりのあいだにおって百方力をつくして、ふたりの交情をやわらげようとつとめたが、それはなんの効果《こうか》もあたえなかった。ついにドノバンは、グロース、ウエップ、イルコックの三人と党《とう》を組んで、食事のときのほかは一同と顔をあわすこともほとんどまれとなり、多くは洞穴の一|隅《ぐう》にひとかたまりとなって首をあつめなにごとかひそひそと語りあうのであった。
「ねえ、ゴルドン君、ぼくはこのごろかれらの態度《たいど》が不安でたまらない」
「どうして」
「人を疑《うたが》うことは日本人のもっとも忌《い》むところだ。だが、ぼくはドノバン君の態度《たいど》を見るに、なにごとかひそかにたくらんでいるように疑えてならないんだ」
「ハハハ、きみにもにあわない、いやに神経過敏《しんけいかびん》だね」
こういってゴルドンは笑った。
「たといかれらがなにごとかひそかには
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