》から銀貨を取りだした。
「ありがとう……でもいいわ」と文子はいった。
「いいのよ、四十銭ぽちなんでもないわ」
「そう? それじゃ私すぐお返しするわ」
「あらいいわ」
文子は新ちゃんに四十銭を借りて本と雑誌を紙に包んでもらった。
「ではねえ新ちゃん、私の家へちょっとよってくださらない? お金をお返しするから」と文子はもう一度いった。
「いやねえ、あなたは水臭《みずくさ》いわ」
文子は水臭いという意味がわからなかった。
「でもお借りしたんだから」
「一緒に散歩しましょう」と新ちゃんがいった、ふたりは大通りからはすの横町に出た、そこの材木屋の材木の上に大勢の子供が戦争ごっこをしていた、それから少しはなれて生《い》け垣《がき》の下で三人の学生がなにやらこそこそ相談をしていた。
「いやだ」とひとりがいう。
「おれもいやだ」と他のひとりがいう。
「おれにまかせろ」と背の高いひとりがいう、それはろばというあだ名のある青年であった。かれらは新ちゃんと文子を見るやいなやだまった。
「なにをしてるの?」と新ちゃんがいった。
「ちょっとおいで」とひとりがいった。新ちゃんは三人のまどいにはいった。四人は
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