に貧乏しても青木は伯父さんをありがたいと思っている、なあ手塚、青木は活動も見ない、洋食も食べたことはない、バイオリンもひかない、女の子と遊びやしない、かれはただ一高の寮歌《りょうか》をうたって楽しんでいる、不器用な調子はずれな声をだして、ああ玉杯《ぎょくはい》に花うけてとうたっている、それだけが彼の楽しみだ、この楽しみに比べてきみの楽しみはどうだ、活動、洋食、バイオリン、君の楽しみは金のかかる楽しみだ、青木は堤の草に寝ころんで玉杯をうたってるとき、きみはがま口から銀貨をつかみだして不良共にふりまいている、どっちの楽しみが純潔だろう、ぼくはきみを攻撃する資格がない、ぼくだって青木に比べるとはるかに劣等だ、劣等なぼくらが不自由なく学問しているのに、優秀な青木は豆腐を売っている、もったいないことだ、もしぼくらが親を失い貧乏になったら青木のごとく苦学するだろうか、きみはいつも青木を軽蔑《けいべつ》するが、それがきみの劣等の証拠《しょうこ》だ、活動に趣味を有するものは高尚《こうしょう》な精神的なものがわからない、なあ手塚、腹が立つなら奮発してくれ、ぼくのお願いだ、ぼくは一生きみと親友でありたいの
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