砲玉のようなおそろしく早い球はぶんぶんうなって飛んでくる。選手はいずれも汗だらけになって走りまわる。それがおわるとフリーバッティングをやる、それも投球するものは先生である。先生の球はノックのごとくコントロールが悪い、右に左に頭上高く、あるいは足元にバウンドし、あるいは腰骨を打つ。
「先生! まっすぐな球をください」と千三がいう。
「ばかッ敵はいつもまっすぐに投《ほう》るかよ」
それがおわると先生は千三に投球させて自分で五、六本を打つ。だが先生の造ったバットはこぶこぶだらけなので、打った球はみんなファウルになり、チップになる。で先生が満足に打つまで球を投《ほう》らなければ機嫌が悪い、ようやく直球を一本打つと先生はにっこり[#「にっこり」に傍点]と子どもらしくわらう、そうしてこういう。
「おれの造ったバットはなかなかいいわい」
練習がすむと先生は一同にいもを煮《に》てくれる、それが何よりの楽しみであった。だが先生は野球のために決して学課をおろそかにしなかった、もし生徒の中に学課をおこたる者があると先生は厳然として一同を叱《しか》りつける。
「野球をやめてしまえッ」
このために生徒は一
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