しているのだ、昨日《きのう》今日《きょう》ようやく野球を始めた黙々塾《もくもくじゅく》などはとても敵し得《う》べきはずがない。それに浦中の捕手は沈毅をもって名ある小原である。投手の柳は新米だがその変化に富める球と頭脳《ずのう》の明敏ははやくも専門家に嘱目《しょくもく》されている、そのうえに手塚のショートも実際うまいものであった、かれはスタートが機敏で、跳躍《ジャンプ》して片手で高い球を取ることがもっとも得意であった。
「練習しようね」と柳は一同にいった。
「練習なんかしなくてもいいよ、黙兵衛《もくべえ》のやつらは相手にならんよ」と手塚がいった。
「そうだそうだ」と一同は賛成した。だが二、三日経ってから小原が顔色をかえて一同を招集した。
「ぼくは昨日《きのう》黙々《もくもく》の練習を見たがね、火のでるような猛練習だ、それに投手の五大洲はおそろしく速力《スピード》のある球をだす、あのうえにもしカーブがでたらだれも打てやしまい、ショートのチビ公もなかなかうまいし、捕手《ほしゅ》のクラモウはロングヒットを打つ、なかなかゆだんができないよ、一たい今度の試合は敵に三分の利があり味方に三分の損《そん
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