だいしゅう》と称《しょう》した。かれの球はおそろしく速かった。
 捕手は「クラモウ」というあだ名で左官の子である、なぜクラモウというかというに、いつもだまってものをいわないのは暗がりの牛のようだからである、身体《からだ》は横に肥ってかにのようにまたがあいている。一塁手は「旗竿《はたざお》」と称《しょう》せられる細長い大工の子で、二塁手は「すずめ」というあだ名で駄菓子屋の子である、すずめはボールは上手《じょうず》でないが講釈がなかなかうまい、かれは安場コーチの横合いから口をだしていつも安場にしかられた。
 三塁手にはどんな球でもかならず止める橋本というのがある、かれはおそろしい勢いで一直線にとんできた球を鼻で止めたので後ろにひっくりかえった。それからかれを橋本とよばずに鼻本《はなもと》とよんだ。
 外野にもなかなか勇敢な少年があった、ショートはチビ公であった、チビ公は身丈《みたけ》が低いが非常に敏捷《びんしょう》であった、かれは球を捕るには一種の天才であった、かれはわずかばかりの練習でゴロにいろいろなものがあることを感じた、大きく波を打ってくるもの、小さくきざんでくるもの、球の回転なしに
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