の十日ばかり先生が準備復習をしてくれた。
「こんな旧式《きゅうしき》なのでもいいのか知らん」とおれは思った。
「だいじょうぶだいけ」と先生がいった、おれはいった、そうしてうまく入学した。
「なあチビ公」
安場はなにを思ったか目に一ぱい涙をたたえた。
「試験の前日、先生はおれにこういった」
「安場、腕ずもうをやろう」
「ぼくですか」
「うむ」
先生はがちょうのように首が長く、ひょろひょろやせて、年が老いている。おれはこのとおり力が自慢だ、負かすのは失礼だと思ったが、さりとて故意《こい》に負けるとへつらうことになる、互角《ごかく》ぐらいにしておこうと思った。
「やりましょう」
先生は長いひざを開いて畳《たたみ》にうつぶしになった。さながら栄養不良のかわずのよう!
「さあこい」
「よしッ」
おれもひじを畳についた、がっきと手と手を組んだ、おれはいい加減《かげん》にあしらうつもりであった、先生の痩《や》せた長い腕がぶるぶるふるえた。
「弱虫! なき虫! いも虫! へっぴり虫!」と先生はいった。
「先生こそ弱虫です」
「なにを!」
「どっこい」
おれは少しずつ力をだして不動直立の態度を
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