ひらいたまま載《の》っている。
「周処三害《しゅうしょさんがい》」
支那に周処という不良少年があった。喧嘩はする。強奪はする。村の者をいじめる、田畑をあらす、どうもこうもしようのない悪者であった。あるときかれの母が大変ふさぎこんでいるのを見てかれはこうきいた。
「お母さんなにかご心配があるのですか」
「ああ、私はもう心配で死にそうだ」と母がいった。
「なにがそんなにご心配なのですか」
「この村に三害といって三つの害物がある。そのために私も村の人も毎日毎日心配している」
「三害とは何ですか」
「南山《なんざん》に白額《はくがく》のとらが出《い》でて村の人をくらう、長橋《ちょうきょう》の下に赤竜《せきりゅう》がでて村の人をくらう、いま一つは……」
こういって母は周処の顔を見やった。
「いま一つはなんですか」
「おまえだ、おまえがわるいことをして村の害をなす、とらとりゅうとおまえがこの村の三害だ」
この話を聞いた周処は俄然《がぜん》としてさとった。
「お母さん、ご安心なさい、ぼくは三害をのぞきましょう」
周処は南山へ行って白虎を殺し、長橋へいって赤竜を殺し、自分は品行を正しくして村の
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