あり涙《なんだ》あらば、来りてこれを賛助せられん事を。
  明治三十四年十一月三日
[#ここで字下げ終わり]
[#地から2字上げ]設立者|謹述《きんじゅつ》


 この事業はいまだ半途《はんと》にして如何《いか》になり行くべきや、常なき人の世のことは予《あらかじ》めいいがたし、ただこの趣意を貫《つらぬ》かんこそ、妾《わらわ》が将来の務めなれ。

     *         *         *

 三十余年の半生涯、顧みればただ夢の如きかな。アア妾は今|覚《さ》めたるか、覚めてまた新しき夢に入るか、妾はこの世を棄てん乎《か》、この世妾を棄つる乎。進まん乎、妾に資と才とあらず。退《しりぞ》かん乎、襲《おそ》うて寒《かん》と饑《き》とは来らん。生死《しょうし》の岸頭《がんとう》に立って人の執《と》るべき道はただ一《いつ》、誠を尽して天命を待つのみ。



底本:「妾の半生涯」岩波文庫、岩波書店
   1958(昭和33)年4月25日第1刷発行
   1983(昭和57)年10月17日第25刷改版発行
   2001(平成13)年11月7日第28刷発行
※底本では、二行どりの小見出しの下
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