》を混同したものだらう。かゝる誤りは萬朝報《よろづてうはう》に最も少《すくな》かつたのだが、先頃《さきごろ》も外《ほか》ならぬ言論欄に辻待《つぢまち》の車夫《しやふ》一切《いつせつ》を朧朧《もうろう》と称《せう》するなど、大分《だいぶ》耳目《じもく》に遠いのが現《あら》はれて来た。これでは国語調査会《こくごてうさくわい》が小説家や新聞記者を度外視《どぐわしし》するのも無理はないと思ふ。萬朝報《よろづてうはう》に限らず当分《たうぶん》此類《このるゐ》のが眼《め》に触れたら退屈《たいくつ》よけに拾《ひろ》ひ上げて御覧《ごらん》に供《きよう》さう。(十五日)
      ○
日向恋《ひなたこひ》しく河岸《かし》へ出ますと丁度《ちやうど》其処《そこ》へ鰻捕《うなぎと》る舟が来て居《い》ました。誰《たれ》もよくいふ口ですが気の長い訳《わけ》さね 或一人《あるひとり》が嘲笑《あざわら》ひますと又《また》、或一人《あるひとり》がさうでねえ、あれで一日《いちにち》何両《なんりやう》といふものになる事がある俺《わつち》が家《うち》の傍《そば》の鰻捺《うなぎか》ぎは妾《めかけ》を置いて居《ゐ》ますぜと、ジ
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