》なく暴露《ばうろ》せられたる事に候《そろ》。其建物《そのたてもの》をいへば松田《まつだ》は寿仙《じゆせん》の跡也《あとなり》常磐《ときは》は萬梅《まんばい》の跡也《あとなり》今この両家《りやうけ》は御《ご》一|人《にん》前《まへ》四十五銭と呼び、五十銭と呼びて、ペンキ塗《ぬり》競争《きやうそう》硝子張《がらすはり》競争《きやうそう》軒《のき》ランプ競争《きやうそう》に火花《ひばな》を散《ち》らし居《を》り候由《そろよし》に候《そろ》。見識《けんしき》と迂闊《うくわつ》は同根也《どうこんなり》、源平《げんぺい》の桃也《もゝなり》馬鹿《ばか》のする事なり。文明《ぶんめい》は銭《ぜに》のかゝらぬもの、腹のふくるゝものを求めて止《や》まざる事と相見《あひみ》え申候《まうしそろ》。(十四日)
      ○
平民新聞《へいみんしんぶん》の創刊《そうかん》に賀《が》すべきは其門前《そのもんぜん》よりも其紙上《そのしゞやう》に酸漿提灯《ほうづきてうちん》なき事なり各国々旗《かくこく/\き》なき事なり市中音楽隊《しちうおんがくたい》なき事なり、即《すなは》ち一《いつ》の請負《》文字《うけおひもんじ》
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