上候間《まうしあげさふらふあひだ》願《ねが》はくは其儘《そのまゝ》を紙面《しめん》の一|隅《ぐう》に御列《おんなら》べ置《おき》被下度候《くだされたくさふらふ》、田《た》に棲《す》むもの、野に棲《す》むもの、鷸《しぎ》は四十八|品《ひん》と称し候《そろ》とかや、僕のも豈夫《あにそ》れ調《てう》あり、御坐《ござ》います調《てう》あり、愚痴《ぐち》ありのろけあり花ならば色々《いろ/\》芥《あくた》ならば様々《さま/″\》、種類《しゆるゐ》を何《なに》と初めより一定不致候《いつていいたさずさふらう》十日に一通の事もあるべく一日に十通の事もあるべし、かき鳴らすてふ羽音《はおと》繁《しげ》きか、端書《はがき》繁《しげ》きか之《これ》を以《もつ》て僕が健康の計量器《けいりやうき》とも為《な》し被下度候《くだされたくそろ》勿々《さう/\》(十三日)
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今日《こんにち》不図《ふと》鉄道馬車《てつだうばしや》の窓より浅草《あさくさ》なる松田《まつだ》の絵|看板《かんばん》を瞥見致候《べつけんいたしそろ》。ドーダ五十|銭《せん》でこんなに腹が張つた云々《うん/\》野性《やせい》は遺憾《ゐかん
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