まかたぎなり》、虎《とら》の巻《まき》の一|節也《せつなり》。
      ○
夫《をつと》をして三井《みつゐ》、白木《しろき》、下村《しもむら》の売出《うりだ》し広告《くわうこく》の前に立たしむればこれある哉《かな》必要《ひつえう》の一|器械《きかい》なり。あれが欲《ほ》しいの愬《うつた》へをなすにあらざるよりは、毫《がう》もアナタの存在を認《みと》むることなし
      ○
栄《さかえ》えよかしで祝《いは》はれて嫁《よめ》に来たのだ、改良竈《かいりやうかまど》と同じく燻《くすぶ》るへきではない、苦労《くらう》するなら一度|還《かへ》つて出直《でなほ》さう。いかさまこれは至言《しげん》と考へる。
      ○
黒縮《くろちり》つくりで裏《うら》から出て来たのは、豈斗《あにはか》らんや車夫《くるまや》の女房、一|町《てう》許《ばかり》行《ゆ》くと亭主《ていし》が待つて居《ゐ》て、そらよと梶棒《かぢぼう》を引寄《ひきよ》すれば、衣紋《えもん》もつんと他人行儀《たにんぎようぎ》に澄《す》まし返りて急いでおくれ。女房も女房|也《なり》亭主も亭主也、男女同権也《どだんじようけんなり》、五穀
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