《まうしえ》られ候《そろ》。婿《むこ》を買ふ者あり娘を売る者あり上下《じやうげ》面白き成行《なりゆき》に候《そろ》
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裾《すそ》曳摺《ひきず》りて奥様《おくさま》といへど、女は竟《つい》に女|也《なり》当世《たうせい》の臍繰《へそくり》要訣《えうけつ》に曰《いわ》く出るに酒入《さけい》つても酒《さけ》、つく/\良人《やど》が酒浸《さけびた》して愛想《あいそう》の尽《つ》きる事もございますれど、其代《そのかは》りの一|徳《とく》には月々《つき/\》の遣払《つかひはら》ひに、少々《せう/\》のおまじないが御座《ござ》いましても、酔《よ》つて居《ゐ》れば気の附《つ》く事ではございませぬ。
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縦令《たとへ》旦那様《だんなさま》が馴染《なじみ》の女の帯《おび》に、百|金《きん》を抛《なげう》たるゝとも儂《わたし》が帯《おび》に百五十|金《きん》をはずみ給《たま》はゞ、差引《さしひき》何の厭《いと》ふ所もなき訳也《わけなり》。この権衡《つりあひ》の失《うしな》はれたる時に於《おい》て胸《むな》づくしを取るも遅《おそ》からずとは、これも当世《たうせう》の奥様気質也《おくさ
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