《ないしよく》が内職《ないしよく》の為《ため》につまらなく手を塞《ふさ》げない事になつて何《な》にも彼《か》にも免《まぬか》れぬ弊風《へいふう》といふのが時世《ときよ》なりけりで今では極点《きよくてん》に達《たつ》したのだ髪《かみ》だけは曰《いは》く有《あ》つて奇麗《きれい》にする年紀《としごろ》の娘がせつせと内職《ないしよく》に夜《よ》の目も合はさぬ時は算筆《さんぴつ》なり裁縫《さいほう》なり第一は起居《たちゐ》なりに習熟《しうじよく》すべき時は五十|仕上《しあ》げた、一|百《そく》仕方《しあ》げたに教育せられ薫陶《くんとう》せられた中から良妻賢母《れうさいけんぼ》も大袈裟《おほげさ》だが並《なみ》一人前の日本《にほん》婦人が出て来る訳《わけ》なら芥箱《ごみばこ》の玉子の殻《から》もオヤ/\鶏《とり》に化《くわ》さねばならない、さうなれば僕も山の芋《いも》を二三日《にさんにち》埋《い》けて置《お》いて竹葉《ちくえう》神田川《かんだがは》へ却売《おろしう》りをする。内職《ないしよく》ではない本業《ほんげふ》だ。(二十日)
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縁附《えんづ》きてより巳《すで》に半年《はんとし
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