で、一定の状態に學習又は習慣構成を生ずるか否かはこの安定性に基づくものである。かくして有用といふことは構造の安定性と關係があるといへる。
 次に試行といふことには、ある問題が與へられると、それを解決せんとて種々の行動を試みることの意味も含まれて居る。而してその目的が達せられると、その種の行動は止まつて他の行動に轉ずる。それは遠くにある目標の知覺、緊張が無くなること、平衡を得ること等と關係し、更に動機づけについての形態説の根本概念と關係して居る。
 最後に系統といふことも、聯合的習慣を形造るのであるから、精神生活の根本的な動的形體を取る結合で、その結合は組織とか構造を作り上げることを意味すといへるのである。

             三

 以上は形態説とソーンダイクの主張とを、双方から少しく歩み寄らせた上のことであるが、兩者の間には尚越ゆべからざる空隙がある。今少しくソーンダイクが結果の法則に連關して述べて居る所を引用して見よう。
 心理學者は學習の原因として、滿足することに力を與へることを恐れ、それは、相互作用、快樂説、神秘説、快樂論的意識の未知の生理的類推であると恐れ、結合の結果
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