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十二月七日、判決の日、暁天の月に対して。
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明日の夜は、晴れて待ち見ん、うきふしも、なれしむとやの、窓の月影。
    ○
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同じき朝、今日を限りの寝具を収むるとて。
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しかすがに、なれし枕ぞ惜まるる。幾夜うき寝の、今朝の別れ路。
    ○
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無罪の判決を受けて監獄に帰り、別房に移されて、裁判所より出獄の通知を待つ。夕方迎へられて知人の家に赴く、夜半目覚めて枕頭の灯影に驚く。
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有明の、なれぬ灯影に驚きて、暫しは迷ふ、夢かうつつか。
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底本:「近代日本思想大系10 木下尚江集」筑摩書房
   1975(昭和50)年7月20日初版第1刷発行
入力:林 幸雄
校正:松永正敏
ファイル作成:
2006年9月18日公開
青空文庫作成ファイル:
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