は涙|堰《せ》きも敢《あ》へず「――長二や、――私や、斯《かう》してお前と歩《あ》るいて居ながら、コツクリと死にたいやうだ――」
 ハヽヽヽと篠田は元気|克《よ》く打ち笑ひつ「何を伯母さん、仰《おつ》しやる、今《い》ま若《も》し貴女に死なれでもして御覧なさい、私は殆《ほとん》ど此世の希望《のぞみ》を亡《なく》して仕舞ふ様なもんですよ、何卒ネ、お躯《からだ》を大切にして下ださい、其のうちに又時を都合して参りますからネ」
「忙しからうがの」と、伯母は小さき袂《たもと》に溢《あふ》るゝ涙押し拭《ぬぐ》ひつ「何卒《どうぞ》其うしてお呉れよ、年増《としま》しにお前が恋しくなるので、――其れに、復《ま》た言ふ様だが、私《わし》の一生の御願だでの、一日も早く嫁を貰ふことにしてお呉れよ、――女房《にようぼ》が無いで身締《みじまり》が何《どう》の角《かう》のなどと其様《そん》な心配は、長二や、お前のことだもの少しも有りはせぬが、お前にしてからが何程心淋しいか知れはせぬよ、女など何の役にも立たぬ様に見えるが、偉い他人でも其の真心には及びませんよ、――諄《くど》いと思ふだろが、お前の嫁の顔見ぬ間《うち》は、
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