貴嬢《あなた》にしても矢張《やつぱ》り御屈托で在《いら》つしやらうと遠慮しましてネ」
「あら、梅子さん、いやですことねエ、――結婚すると御友達と疎遠になるなんて皆様仰しやるんですけれど、貴嬢まで矢張《やつぱり》其様事《そんなこと》を仰つしやらうとは思ひも寄りませんでしたよ」
「銀子さん、左様《さう》ぢやありませんよ」
 銀子は熟々《つくづく》と梅子の面《かほ》打ちまもり居たりしが「梅子さん、貴嬢《あなた》はほんとに御憔悴《おやつれ》なすツたのねエ、如何《どうか》なすつて――」
「否《いゝえ》、別に如何《どう》も致しませんの」
「けども、何か御心配でもおありなさらなくて」
「否《いゝえ》――心配と云ふ程のこともありませんがネ――」
「心配と云ふ程で無くとも、何か御在《おあ》りなさるでせう」
 と銀子は顔差し付けて声打ちひそめ「私《わたし》、貴嬢《あなた》に御聴《おきゝ》せねば安心ならぬことがあるんですよ――梅子さん、貴嬢、ほんとに彼《あ》の海軍の松島|様《さん》と御約束なさいまして――」
 梅子は目を閉ぢて無言なり、
「梅子さん、私《わたし》ネ、其を道時から聴きましても、貴嬢《あなた》か
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