くしたる眼《まなこ》を、忽《たちま》ち細くして笑《ゑ》みつくろひ、「山木様、まア、お目出度《めでたう》御座います、存じませんでしたもんですから、ツイ、失礼致しましてネ、――シテ、春山様、何殿《どなた》」
「先生が御存《ごぞんじ》無《なか》つたとは驚きましたねエ」と春山は容子つくろひ「あの、海軍大佐の松島様へ」
「オヽ、あの松島さんへ」と女教授は驚きしが「実権海軍大臣などと新聞で拝見する松島さんへ――左様《さう》ですか、山木様、貴嬢《あなた》にはほんとに御似合の御縁組ですよ」
一座の視線は皆な沈黙せる梅子の面上に集まりぬ、
松村と言へる弁護士の妻女は、独り初めより怪しげに打ち目《ま》もり居たりしが「先生、私《わたし》も山木様の御縁談の御噂《おうはさ》をお聞き申しましたが、只今の御話とは少《す》こし違ふ様ですよ」
「エ、松村様、ぢや何殿《どなた》と仰《おつ》しやるのです」
松村は梅子の顔恐る/\見やりながら「間違ひましたら山木様、御免下ださいな――あの、同胞新聞社の篠田様へ――」
麦沢教授は反歯《そつぱ》剥《む》き出してハツハと打ち笑へり「松村様、何を仰《おつ》しやる、山木様が何で
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