ネ、老女《おば》さん」と、お花は明朝《あす》の米かしぐ手を暫《し》ばし休めつ「歩きながらのお話に、此頃湖月で話した兼吉の老母《はゝ》が家《うち》へ来て居ると先生様が仰《お》つしやるぢやありませんか、老母《おば》さん、私《わたし》どんなに嬉しかつたか知れませんよ、お目に懸つた方でも何でも無いんでせう、けども米《よね》ちやんのお姑《しうと》さんだと思ひますとネ、何《ど》うやら米ちやんにでも逢ふやうな気がするんですもの、――私は斯《か》う云ふお転婆、米ちやんは彼《あ》の通りの温柔《おとなし》やでせう、ですけども、何《ど》うしたわけか能《よ》く気が合ひましてネ、始終《しじゆう》往来《ゆきき》して姉妹《きやうだい》の様にして居たんですよ、あゝ云ふことになる晩まで、一つお座敷で色々語り合つた程ですもの――其の縁に繋《つな》がる老母さんに図《はか》らぬお世話様になると云ふのも、ほんとに米ちやんの引き合はせぢや無いかと思はれましてネ」
 小米と聞けば直ちに一粒種の我子のこと思ひ出づる老婆は、セキ上ぐる涙を狭き袖に抑《おさ》へつ「あゝ云ふことになると云ふも、皆な前世からの約束事と諦《あきら》めてネ――そ
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