ら直接に聴かなければ安心が出来ないんですもの」
「銀子さん、貴女まで其様《そんな》風評を御信用下ださるんですか――」涙ハラ/\と膝に落ちぬ、
銀子は梅子の手を握れり「梅子さん、貴嬢は私が、其様《そんな》風評を信用するものと御疑ひ下ださいますの――」
梅子は握られし銀子の手を一ときは力を籠《こ》めて握り返へしつ「否《いゝえ》、銀子さん、私は学校《こゝ》に居た時と少しも変らず、貴嬢を真実の姉と懐《おも》つて居るんです」
「梅子さん、有難う――何《ど》うしたわけか、初めて入学した時から貴嬢とは心が会つて、私が一つ年上ばかりに貴嬢の姉と呼ばれる様になつたことは、何程嬉しいとも知れないのです、道時が何か私の非難など致します時には、併《し》かし私の妹《いもと》に山木梅子と云ふ真の女丈夫《ぢよぢやうぶ》が在りますよと誇つて居るのです――丁度《ちやうど》昨年の十月頃でしたよ、外交問題が八釜敷《やかましく》なり掛けた頃と思ひますから――道時が晩餐《ばんさん》の時、冷笑《わら》ひながら、お前の御自慢の梅子さんも、到頭《たうとう》海軍の松島の所へ行くことになつたと言ひますからネ、私は断然之を打ち消したのです、梅子さんも御自分で是れならばと信じなさる男子《ひと》を得なすツたならば、進《すゝん》で御約束もなさらうし、又た強《し》ひても御勧め申すけれど、軍人は人道の敵だとまで思つて居なさる梅子さんが、特《こと》に不品行不道徳な松島様などに御承諾なさる筈《はず》が無い、又た若《も》し其れが真実ならば必ず梅子さんから、御報知《おしらせ》がある筈だと頑張《ぐわんば》つたのですよ、スルと憎《に》くらしいぢやありませんか、道時が揶揄《からかい》半分に、仮令《たとへ》梅子さんからの御報知は無くとも、松島の口から出たのだから仕様《しやう》が在《あ》るまい抔《など》と言ひますからネ、彼様《あんな》松島様などの言ふことが何の証拠になりますと拒絶《はねつけ》て遣《や》りましたの、其《それ》ツきり道時も何も言ひませんでしたがネ、昨日ですよ、外務省《やくしよ》から帰りましてネ、服も更《あら》ためずに言ふんです、梅子さんの結婚談も愈々《いよ/\》進んで、伊藤侯が媒介者となられ、近日中に式を挙げらるゝさうだと、大威張に言《いふ》ぢやありませんか、私には如何《どう》しても解らないのです、相手が松島様で、媒介が伊藤侯と云
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