あなたの手でこしらえてくださらないでしょうか。織らすものは急いで織り屋へ命じることにしますから」
 こう言うのを姫君が聞いていて身にしまぬわけもない、人に不審を起こさせまいと奥のほうに向いていた。尼君が、
「あの聖《ひじり》の宮《みや》様の姫君は二人と聞いていましたがね、兵部卿《ひょうぶきょう》の宮の奥様はどうなの、そのお一人でしょう」
 と問うた。
「大将さんのあとのほうの御愛人は八の宮の庶子でいらっしゃったのでしょう。正当な奥様という待遇はしておいでにならなかったのですが、今では非常に悲しがっておいでになります。初めの方にお別れになった時もたいへんで、もう少しで出家もされるところでした」
 こんなことも語っている。大将の家来の一人であるらしいと思うと、さすがに恐ろしく思われる姫君であった。
「しかもお二人とも同じ宇治でお亡《な》くしになったのですから不思議ですね。昨日《きのう》もお気の毒なことでした。川に近い所で水をおのぞきになって非常にお泣きになりましたよ、家《うち》へお上がりになって柱へお書きになった歌は、

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見し人は影もとまらぬ水の上に落ち添ふ涙いとど
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