義務としてしなければならぬと責められて、少将が姫君の室へはいってみると、人に見せないのは惜しいような美しい恰好《かっこう》で浮舟の姫君はいるのであった。淡鈍《うすにび》色の綾《あや》を着て、中に萱草《かんぞう》色という透明な明るさのある色を着た、小柄な姿が美しく、近代的な容貌《ようぼう》を持ち、髪の裾《すそ》には五重の扇を拡《ひろ》げたようなはなやかさがあった。濃厚に化粧をした顔のように素顔も見えてほの赤くにおわしいのである。仏勤めはするのであるがまだ数珠《じゅず》は近い几帳《きちょう》の棹《さお》に掛けられてあって、経を読んでいる様子は絵にも描《か》きたいばかりの姫君であった。少将は自身でも見るたびに涙のとどめがたい姫君の姿を、恋する男の目にはどう映るであろうと思い、よいおりでもあったのか襖子《からかみ》の鍵穴《かぎあな》を中将に教えて目の邪魔《じゃま》になる几帳などは横へ引いておいた。これほどの美貌の人とは想像もしなかった、自分の理想に合致した麗人であったものをと思うと、尼にさせてしまったことが自身の過失であったように残念にくちおしく思われる心を、これをよくおさえることができなくっ
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