てまいりまして、私に泣く泣く出家の希望を述べて授戒を求めましたので落飾させてまいりました。私の妹で以前の衛門督《えもんのかみ》の未亡人の尼君が、亡《な》くしました女の子の代わりと思いまして、その人を愛して、それで自身も幸福を感じていましたわけで、ずいぶん大事にいたわっていたのでございますから、私の手で尼にしましたのを恨んでいるらしゅうございます。実際|容貌《ようぼう》のまれにすぐれた女性でございましたから、仏勤めにやつれてゆくであろうことが哀れに思われました。いったいだれの娘だったのでございましょう」
 能弁な人であったから、あの長話を休まずすると、
「どうしてそんな所へ美しいお姫様を取って行ったのでしょう」
 宰相の君がこう尋ねた。
「いや、それは知らない。あるいは妹の尼などに話しているかもしれません。実際に貴族の家の人であれば、行くえの知れなくなったことが噂《うわさ》にならないはずはないわけですから、そんな人ではありますまい。田舎《いなか》の人の娘にもそうした麗質の備わった人があるかもしれません。竜《りゅう》の中から仏が生まれておいでになったということがなければですがね、しかし平凡
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