な家の子としては前生で善因を得て生まれて来た人に違いございません。そんな人なのでございます」
などと僧都は言っていた。そのころに宇治で自殺したと言われている人を中宮は考えておいでになった。宰相の君も実家の姉の話に行くえを失ったと聞いた宇治の姫君のことが胸に浮かび、それではないかと思ったのであるが、忖度《そんたく》するだけで断言することはできなかった。僧都もまた、
「その人も生きていると人に知らせたくない、知れればよろしくないようなことを起こしそうな人のあるように、それとなく言っているふうなのでございますから、どこまでも秘密として私も黙しているべきでしたが、あまりに不思議な事実でございますからその点だけをお耳に入れましたわけでございます」
と言い、隠そうとするふうであったから宰相はだれにもそのことは言わなかった。中宮はこの人にだけ、
「僧都のした話は宇治の姫君のことらしい、大将に聞かせてやりたい」
とお言いになったが、その人のためにも女のためにも恥として隠すはずであることを、決定的にそれとすることもできないままで人格の高い弟に言いだすのも恥ずかしいことであると思召されて沈黙しておい
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