きる方でも、右大臣はあまりにごりっぱな御身分で、何かの機会でもなければお逢《あ》いすることもできないのだから」
と言っていて、尚侍は源侍従を弟と思って親しみを持っているのであったから、その人も近い親戚《しんせき》の家としてここへ出てくるのである。若い人に共通した浮わついたことも言わず、落ち着いたふうを見せていることで、二人の姫君付きの女房は皆物足らぬように思って、いどみかかるふうな冗談《じょうだん》もよく言いかけるのだった。
正月の元日に尚侍《ないしのかみ》の弟の大納言、子供の時に父といっしょに来て、二条の院で高砂《たかさご》を歌った人であるその人、藤《とう》中納言、これは真木柱《まきばしら》の君と同じ母から生まれた関白の長子、などが賀を述べに来た。右大臣も子息を六人ともつれて出てきた。容貌を初めとしてまた並ぶ人なきりっぱな大官と見えた。子息たちもそれぞれきれいで、年齢の割合からいって、皆官位が進んでいた。物思いなどは少しも知らずにいるであろうと見えた。いつものように蔵人少将はことに秘蔵|息子《むすこ》らしくその中でも見えたが、気の浮かぬふうが見え、恋をしている男らしく思われた。
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