源氏物語
竹河
紫式部
與謝野晶子訳

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【テキスト中に現れる記号について】

《》:ルビ
(例)常少女《とこをとめ》にて

|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)秘蔵|息子《むすこ》らしく

[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
   (数字は、JIS X 0213の面区点番号、または底本のページと行数)
(例)※[#「てへん+宛」、第3水準1−84−80]木
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[#地から3字上げ]姫たちは常少女《とこをとめ》にて春ごとに花あらそひ
[#地から3字上げ]をくり返せかし       (晶子)

 ここに書くのは源氏の君一族とも離れた、最近に亡《な》くなった関白太政大臣の家の話である。つまらぬ女房の生き残ったのが語って聞かせたのを書くのであるから、紫の筆の跡には遠いものになるであろう。またそうした女たちの一人が、光源氏の子孫と言われる人の中に、正当の子孫と、そうでないのとがあるように思われるのは、自分などよりももっと記憶の不確かな老人が語り伝えて来たことで、間違いがあるのではないかと不思議がって言ったこともあるのであるから、今書いていくことも皆真実の
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