く、幼いはずであるが、年齢よりも大人《おとな》びて感じのよい若公達《わかきんだち》になっていて、将来の有望なことが今から思われる風貌《ふうぼう》の備わった人であるのを、尚侍は婿にしてみたいように思っていた。この邸《やしき》は女三《にょさん》の尼宮《あまみや》の三条のお邸に近かったから、源侍従は何かの時にはよくここの子息たちに誘われて遊びにも来るのであった。妙齢の女性のいる家であるから、出入りする若い男で、自身をよく見られたいと願わぬ人はないのであるが、容貌の美しいのは始終来る蔵人少将、感じのよい貴人らしい艶《えん》な姿のあることはこの四位の侍従に超《こ》えた人もなかった。六条院の御子という思いなしがしからしめるのか、源侍従はほかからも特別なすぐれた存在として扱われている人である。若い女房たちはことさら大騒ぎしてこの人をほめたたえるのであった。尚侍も、
「人が言うとおりだね、実際すばらしい公達ね」
などと言っていて、自身が出て親しく話などもするのであった。
「院の御親切を思うと、お別れしてしまったことが、ひどい損失のような気がして、悲しくばかりなる私が、お形見と思ってお顔を見ることので
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