選《よ》りととのえになった。人が姫君をかしずく以上の華奢《かしゃ》な生活をおさせになるようでまばゆく見えた。院のおそばの女房の中からも、后の宮の女房の中からも容貌《ようぼう》のすぐれた、感じのよい、品のある女は皆中将の曹司付きにあそばされ、院にいることがどこにいるよりも好きになるようにとお計らいになったのであって、うれしい玩具品《がんぐひん》のように思召すのであった。亡《な》くなった太政大臣の女御《にょご》の腹からただお一方の内親王がお生まれになったのを、院が非常に珍重あそばすのに変わらず中将をお扱いになるのである。それは一つは后の宮をお愛しになることが年月とともに増してゆくことによるものらしくて、それほどまでにはと話を聞いては人が信じないほど中将を院はお愛しになった。
現在の母宮は仏勤めをばかりしておいでになって、月ごとの念仏、年に二度の法華《ほっけ》の八講、またそのほかのおりおりの仏事などを怠らずあそばすだけがお役目のようで、出入りする中将をかえって御自身のほうが子のように頼みにしておいでになったから、お気の毒でおそばにもいたかったし、院からも、宮中からも始終お呼ばれはするし、東
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