ように思って、私は安心していたのでございますよ。けれどまだ実際はそうした御幼稚らしいところがあって、隙《すき》をお見せになったのかと思いますと、御後見のために私はもう少し生きていたい気がいたします。普通の女でも貴族階級の人は再婚して二人めの良人《おっと》を持つことをあさはかなことに人は見ているのでございますからね、まして尊貴な内親王様であなたはいらっしゃるのでございますから、あそばすならすぐれた結婚をなさらなければならなかったのでございますが、以前の御縁組みの場合にも、私はあなた様の最上の御良人《ごりょうじん》とあの方を見ることができませんで、御賛成申さなかったのですが、前生のお約束事だったのでしょうか、院の陛下がお乗り気になりまして許容をあそばす御意志をあちらの大臣へまずもってお示しになったものですから、私一人が御反対をいたし続けるのもいかがかと思いまして、負けてしまいましたのですが、予想してすでに御幸福なように思われませんでしたことは皆そのとおりでお気の毒なあなた様にしてしまいましたことを、私自身の過失ではないのですが、天を仰いで歎息《たんそく》しておりました。その上また今度のこと
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